死神と三日間だけの友達– category –
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『死神と3日間だけの友達』第2話 死神と友達になった日
朝が来た。 霧はまだ街の屋根を這っていたが、少女の部屋にはやわらかな光が差し込んでいた。カーテンの向こうで鳥が鳴き、小さな世界に、日常という名の幕がひらく。 しかしその部屋に、もう昨日までの日常はなかった。窓辺の椅子には、黒と墨の混じった... -
『死神と3日間だけの友達』第1話 死神の訪れ
その夜、街は霧に包まれていた。 細い路地を白く染める靄のなか、誰も気づかぬ足音が、石畳をすべっていく。月は雲の合間から顔を覗かせ、濡れた屋根瓦に銀の光を落としていた。 誰もが眠りにつくその時、ひとつの小さな家の前で、黒衣の女が立ち止まる。... -
『死神と3日間だけの友達』第3話 ことばの灯
二日目の朝は、静かに始まった。 夜に降った雨が、屋根を滑り落ちる音が聞こえる。死神は窓辺に座って外を見つめていた。少女はベッドに座り、眠そうに目をこすっている。 おはよう、死神さん…… ……ああ。よく眠れたか? うん、よく覚えてないけど、『ミー... -
『死神と3日間だけの友達』第4話 再会の約束
三日目の朝は、どこか特別な静けさを湛えていた。 風は止み、空気は澄みきっていた。霧は晴れ、窓の外には薄い青空が広がっている。少女の部屋にはやわらかな光が満ちていたが、それはどこか、終わりの訪れを告げるようでもあった。 死神は部屋の隅に立ち... -
『死神と3日間だけの友達』最終話 ひたなの広場
春が来た。 あの小さな街にも、長く閉ざされていた空が開け、やわらかな陽光が降り注いでいる。 通りには花が咲き、木々が芽吹き、人々の頬には笑みが戻っていた。 ひとりの黒衣の女が、街の外れにある小さな丘の上に立っていた。 白と墨を溶かしたような...
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