aico– Author –
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君と守りし妖精の藍花
第八章 つながれる約束
* * * 数日後—— 朝の光が、そっと部屋に差し込んでいた。 眠る妹の顔は、ほのかに微笑んでいた。 けれど、その微笑みのまま—— 彼女は静かに、最後の息を引き取った。 少年は、そっと妹の小さな手を握りしめる。 そして、かすかに囁いた。 「……ありが... -
君と守りし妖精の藍花
第七章 妖精と見る夢
少年は、静かな湖畔を後にした。妖精の国があった場所を振り返ることなく、まっすぐ帰路につく。 いくつもの夜を越え、ようやく家の前にたどり着いたとき——扉の前で深く息を吸い、静かに扉を叩いた。 「……ただいま」 開いた扉の向こうで、母親は言葉を失っ... -
君と守りし妖精の藍花
第六章 君のいない森に、藍は咲く
妖精は、そっと少年の前に飛び立った。小さな羽音が、湖の静けさをそっと揺らす。 「ねえ……」 その声に、少年が顔を上げる。祈るように見つめるまなざしが、そこにあった。 「私ね、わかったの。私が何者で、なぜ生まれてきたのか……そして、何を残すべきな... -
君と守りし妖精の藍花
第五章 涙の湖と最後の種
妖精は、ゆっくりと重い記憶を語りはじめた。ひとつ、またひとつ──掘り起こすように。 妖精の国が滅びた理由。藍色の花の真実。人間との希望と、そして破滅の物語——そのすべてを。 少年は、ただ黙って聞いていた。真剣なまなざしで、目をそらすことなく。... -
君と守りし妖精の藍花
第四章 罪の記憶と藍の約束
深く、静かな霧が森を包んでいた。 妖精と少年は、幾重にも重なる古木を越え、冷たい苔の絨毯を踏みしめながら進んでいた。森の奥へと進むにつれ、妖精の胸の奥に眠る記憶の断片が、微かに呼び起こされていくような感覚があった。それとともに胸のうちに押...