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君と描く蒼い月夜
プロローグ
プロローグ ——蒼い満月の夜、また君に会えた その夜、世界は蒼く染まっていた。 蒼い満月——ブルームーン。 雪をいただく山々の稜線も、眠る町も、すべてが青白い光の中で息を潜めている。 私はベッドの上に座ったまま呆然としていた。 目の前には——白い髪... -
君と描く蒼い月夜
第六章 ふたりの世界
町は静まり返っていた。 家々の窓には灯りひとつなく、煙突から青いゆらめきだけが立ち上っている。 命の気配は感じられず、まるで演出された幻想のように思えてならなかった。 「誰もいないね」 そうつぶやくと、スーはふんわりと笑って言った。 「そうだ... -
君と描く蒼い月夜
第五章 思い出づる国
……誰かが、私を呼んでる? 優しく、耳の奥に響く声。 どこかで、ずっと前に聞いたことがあるような―― 懐かしさに胸を掻きむしられるような声だった。 (誰なの……?) 寝ぼけた頭が、その問いに答えを出す前に、声はだんだんとはっきりしてくる。 「……セナ... -
君と描く蒼い月夜
第四章 蒼い満月の夜に
夜も更け、食後の皿を下げたあと、それぞれ紅茶のカップを手に、暖炉の前に腰を下ろしていた。薪の燃える音だけが、部屋の中にゆるやかなリズムを刻んでいる。 私は、暖炉の火をぼんやりと見つめながら、両親のそばにいた。 母・リゼットは椅子の肘掛けに... -
君と描く蒼い月夜
第三章 ぬくもりの在処
蒸気を吐きながら、列車が緩やかに減速を始めた。 車輪が軋む音に続いて、窓の外の風景が少しずつ動きを止めていく。 故郷の小さな駅に、ようやく辿り着いたらしい。 ベージュ色のコートの前を軽く合わせ、荷物を抱えて立ち上がった。 扉が開くと、冷たい...