プロローグ
はるか昔。
夜ごと青い月が空を照らし、森は静かな光に包まれていた。
その森の奥深く──
まだ誰も踏み入れぬ湖のほとりに、藍色の花が一面に咲き誇っていた。
花の香りは、ささやくように眠りを誘い、訪れた者に安らかな夢を見せたという。
その花から生まれた小さな命たち──妖精たちが、森の守り手として静かに暮らしていた。
けれど、いつしかその花とともに妖精たちは姿を消し、そして森には、ひとりきりの小さな妖精だけが残された──
長い時を越え、やがてひとりの少年が、再びその森を訪れる。
藍色の花とその妖精は、本当に消えてしまったのか。
これは、出会いと別れ、赦しと約束の物語。
静かに息づく蒼月の森で、今また──
ひとつの新たな物語が始まろうとしていた。
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