プロローグ
——蒼い満月の夜、また君に会えた
その夜、世界は蒼く染まっていた。
蒼い満月——ブルームーン。
雪をいただく山々の稜線も、眠る町も、すべてが青白い光の中で息を潜めている。
私はベッドの上に座ったまま呆然としていた。
目の前には——白い髪の少女。
透きとおる碧い瞳が、まっすぐ私を見ている。
少女は微笑んだ。
「わたし、スーだよ。……猫のスー。いま、ひとになってるみたい。
どんな姿か、自分では見えないけど」
(……スー?)
この仕草——間違いない。
かつて私の隣にいた、小さな白猫。
——ずっと、会いたかった。
もう二度と会えないと思っていたのに。
その夜、蒼い満月の下で、私の世界は再び色づき始めた。
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